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暮らしの循環探訪 〜茅葺きワークショップのご案内〜

あけましておめでとうございます!
昨年中もたくさんの方々に助けていただきながら、前向きに事業及び地域づくりに取り組ませていただくことができました。
本年は更にパワーアップして既存事業にも新規事業にも取り組んでいく所存でございますゆえ、引き続きよろしくお願いいたします。

我々の初仕事は、有志で集った「細野高原」の茅(かや)活用プロジェクトでした。

1月29日(土)30日(日)の2日間で、茅葺き職人さんのご指導いただきながら、
細野高原のすすきを茅として湊庵の二軒目庭の垣根に葺きつけるワークショップを開催します!
宿泊込みで、昔からの生活の知恵や地域の循環を体感できる特別な時間となること間違いないので、ぜひともご参加いただきたい企画となっています!

ワークショップ詳細&宿泊申し込みフォームはこちらから!

この企画のため新年早々(1月3日から(笑))茅葺き職人さんを稲取にお招きし、実際に一式の作業を学びながら茅葺き作業の奥深さや楽しさをこの身を持って体感しましたので、レポートに記していきたいと思います。

ワークショップを行う庭にお試しで茅葺きの垣根を一部こさえました!

【茅活用プロジェクトの背景】

そもそも細野高原は、茅葺きの屋根材や畑の敷草などの「茅」を収穫する場所、「茅場(かやば)」として管理されてきた場所です。
いつしか茅葺き屋根の文化はなくなってしまい、密接だった細野高原と稲取の人たちの暮らしの関係性は次第に遠のいていってしまいました。
この場所を管理している地元の人達の努力によって、細野高原を茅場として維持していく文化「山焼き」は年一回必ず行われており、今の細野高原が保たれています。(定期的に山焼きをしないと雑木が生えてきて、茅を収穫することができなくなってしまいます。)

しかし、長年継承されてきた細野高原の山焼きも、担い手の高齢化など諸問題によって、今年度から面積が縮小してしまうことが決まっています。
なんとか後世にも細野高原のすすきが広がる景色を残していきたい。
茅と生活の関係性が密接だったころの豊かさから今の自分達の暮らしを見つめ直したい。
湊庵は、そんな想いを持った地元の方たちと共鳴しこちらの細野高原の茅活用プロジェクトに参画させてもらっています。

【体験レポート(WS概要)】

細野高原と茅葺き職人の峯正也さん

この日は天候に恵まれ、晴れ晴れとした環境で作業を行うことができました。
細野高原の茅の背丈は場所により様々で、今回は2mほどの茅が生えている生育のよいエリアで贅沢に収穫。
初心者で鎌の使い方もおぼつかない荒武でしたが、茅葺き職人の峯さんから使い方を学びながら、合計4名で10本ほどの茅束を作ることができました。
峯さんいわく、職人が見たら間違いなく欲しがる茅の質と量とのことで、やはりこのすすきを活用せずに毎年燃やしてしまうだけではもったいない、地域の資源として捉え直す必要があるなと強く感じました。

丸太で垣根の構造体を作り、茅葺きの裏地となる部分を事前に稲取の山から切り出してきた竹を用い、それぞれの部材を縄で縛りながら組んでいきます。
この日だけでも数種類の縄の縛り方を教わり、災害時にも応用できる技術を学びました。

プロの道具を実際に使わせていただき、峯さんから茅葺き職人としてのお仕事のお話なども伺いながら徐々に垣根に茅が葺かれていきます。
最初は峯さんから手取り足取り教えてもらいながら作業を進めていきましたが、次第に作業にも慣れてきて、最終的には自分たちで作業を進められるほどに!(もちろん本職の技術には遠く及びませんが…)

港町の庭に、茅葺きの垣根。路地裏に里山の雰囲気が漂ってきました。
時間が経てば、いずれ茅は朽ち、また新たな茅を葺き替える必要があります。
一見手間に見えることかも知れませんが、訪れた方たちに日本の昔ながらの文化を体感してもらうことができ、細野高原の価値も見直され、朽ちた茅は栄養満点な肥料として活用することができます。
昔の人達が長年の暮らしの集積によって編み出してきた「地域の循環」を、体感できるとても有意義な時間となりました。

【おわりに】

今回は細野高原の茅活用の機運を高めていこうという取り組みの第一弾企画ということで、湊庵の自腹で茅葺きの垣根制作に手を挙げさせていただきました。
今回のワークショップは世界にとっては小さなアクションかもしれません。
だけどきっとこの小さな一歩が未来に細野高原の雄大な風景をつないでいく道につながっていることを確信しています。
この記事に共感してくださる方と一緒に、稲取のこれからの風景を作っていきたいです。
ワークショップへのご参加お待ちしております!

荒武

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荒武 優希
この湊庵プロジェクトを通して、稲取の港町の魅力的な暮らしをたくさんの方たちにゲストとしてでなく、町の一員として体感していただきたいと考えています!